いよいよ初めての漆掻きの日がやってきた。プロの漆掻きに教えてもらうことのできる貴重な機会。できるだけ技術を身につけられるようにしたい。
前日までにこれでいいのだろうかと恐る恐る、でもわくわくしながら必要なものを揃え、8時に作業を開始した。
最初につける傷・辺のことを〝目立て〟と言う(もちろん1辺目なのだが)。鋸の目立てと関連があるのだろうか。先日4日に行った準備を踏まえ、もう一度立ち位置や目立て棒を使った目立て位置の再確認を行う。見様見真似でやるが、自分のやっていることが適切なのかどうか、分かるようで分からない。
カマの写真
再度目立てする場所をチョークで印づけしたら、いよいよカマズリ。〝カマズリ〟は漆掻き用のカマを使って、カンナで傷をつける箇所の周辺の外樹皮を削り取る作業。目立ての傷は小さいので、カマズリする範囲も狭くてよい。内樹皮の手前のところまでの外樹皮を削る。色や線や凸凹具合などで判断するのだが、分からない‥‥(ちなみに辺を重ねていっても私には難しかった。パパッとやる遠藤さんをはじめとした掻子さんたちは本当にすごい)。
遠藤さんが「丁寧にで大丈夫」と言ってくださるので、時間をかけて行い、内樹皮手前の自分なりの判断材料を増やしていく。作業が早い・うまい人はまずカマズリが早い・うまいとのこと。

カマズリが終わったらいよいよカンナを使って樹皮に傷・辺をつける〝カンナ〟の作業に入る。実際に傷をつけていく前にカンナの持ち方や動かし方を改めて教わる。
実践へ。最初にチョークで印づけもしたが、目立て棒も使って再度確認しながらカンナを入れていく。目立てはその後の基準となっていくものだから、どこにつけるのか、どの間隔でつけるのかはとても重要。

立ち位置に立ち、目立てを行う箇所の高さに目線を合わせる。今後辺をつけていく時にわかりやすくするために、目立ては立ち位置側を落として斜めに傷をつける。
カンナのRの部分をしっかりと樹皮に噛ませて位置をしっかりと固定し、手前斜め下に向かって、上向きにスポンと引き抜く感じ。不思議な感触。傷の長さは指一本分くらい。傷の深さがちょうどいいと「シャッ」と良い音がする。立ち位置の右と左でカンナの持ち方も変わるので、感覚を掴むのが難しい。
傷をつけるとすぐに漆が滲み出てきて、「ああ、本当に漆ってウルシの木から出るのだな」と実感する。傷をつけたところを少し時間をおいてみてみると、漆が傷全体を覆うほど出ていた。目立ての漆は採らないので、準備したヘラやタカッポの出番はまだ。漆をヘラで掬ったり入れたり、漆の質感とかどうなのだろうか。実際に漆も採る〝上げ山(2辺目)〟も楽しみでならない。

(木村崇)

