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大鰐の漆掻き 16辺目(2024.9.4)

大鰐の漆掻き 16辺目(2024.9.4)

また台風の影響によって漆掻きの間隔が空いた。七日山の16辺目である(木村崇)。
今日の早朝は15℃、もう半袖では肌寒い。天気は最近掻いてきた中ではよさそうだ。
大雨を挟んでの掻きなので、漆が水っぽい可能性がある。それにこの一週間で朝晩の気温がぐっと下がって1日の寒暖差が大きくなってきた。漆も末辺になるいいタイミングかもしれない。

今、葛西、木村崇が掻くウルシ林
早朝の風景

ウルシ林に到着したら小雨がぽつぽつ降っていた。幹が濡れるほどの感じではないので作業を行うことにした。まずは傷や出た漆、木、地面などを観察する。漆は相変わらずよく乾いている。地面は湿ってるが、幹は乾いている。葉は黄色いのが増えてきて、落葉しているものも増えている。

5時過ぎに作業開始。今までは5本の木すべてカマズリしてからカンナを入れたりしてきたが、遠藤さんや今さんのように1本(可能であれば辺一列)ずつ カマズリ〜漆採り まですることにした。よりスピーディーに作業できるようにするために。目標は8時に作業終了。

カマズリ、前回だって似たような場所をしているのだから、まだ厚みがありそうなところを重点的にやっていこうと少し軽めの気持ちで取り組むことにする。スピード重視。
鼓掻きの下部分が難しい。外樹皮が薄いことも多いし、流れた漆が固まっているし、刃の入れ具合もまだうまくコントロールができない。内樹皮をたくさん出してしまう。

タカッポが小さくてかわいい

カマズリが終わりカンナ。私の場合、傷はほんの少し伸ばす程度。傷がクロスしないように注意する。ストッパーが効かず少し流れて冷や汗をかく。刃を入れた時、樹皮が今までよりも少し硬い感じがした。木が雨とかでなのか?ストレスを感じてるからなのか(これからの辺でどうなのか注意していきたい)。硬い部分があると傷がきれいにつかないことがある。遠藤さんがやっているのを見て、体全体でカンナを入れてく仕方も覚えればもう少しうまくできるかもしれない。
メサシは7、8割といったところか。メサシも遠藤さんのを見て、もう少し優しく入れるのがよさそうだと気付かされる。最近の自分は肉を断つような感じで入れていた気がする。

今 & 木村崇

漆の出は悪くはないが、これまでよりもスピードがゆっくりな感じだった。前であればもっと傷から漆が流れてその処理にも追われていたが、今回はそこまでではなく、むしろ2列カンナを入れてから漆を採るのでも間に合うくらいだった。
漆も最初は水っぽい感じがしたが、木による個体差も大きく、これまでの盛辺とものすごく大きく違う感じはしなかった。なので私はこの16辺目までを盛辺とすることにした。

徐々に陽が差し込んできた。5本を一通り掻き終わり、何周か回って出ている漆を採って漆掻きを終わりにする。そんな時、「セミが漆に!!」という声が聞こえた。どうやらセミが今さんのタカッポの漆にダイブしたらしい。

漆をまとったセミ

なんとか漆の井戸からセミを脱出させる。漆が乾く前なら飛び立てるかと思ったが無理なよう。セミは静かに漆に包まれていった。しかしどうして・どうやってダイブしてしまったのか、気になる方は今まで。

タカッポに集まった漆の量・重みは盛辺の最近の採量と近い感覚があり、家に帰って量ると前回とほぼ同じであった。お盆が過ぎても採量が変わらない、むしろ増えているのは遠藤さんが教えてくださる掻き方と木が素晴らしいからに他ならない。これからもその技術を学び、今後に役立てていきたい。

ゴミだらけの漆

 

(木村崇)