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大鰐の漆掻き 19辺目(2024.9.19)

大鰐の漆掻き 19辺目(2024.9.19)

5時過ぎのウルシ林

青森は秋になった。湿度は高かったりするが、朝晩は長袖を羽織るくらい少し肌寒く、日中は気持ちのいい温度。漆掻きも長袖のヤッケを着ていて、早朝は汗ばむことなく作業できる。

遅辺になってからは五日山くらいで順調に掻けている。漆の出は少し減っているとはいえ良いほうだろう。ただウルシの葉は少なくなってきていて、もう冬の準備に入ろうとしている。漆はいつまで出てくれるだろうか。初めての漆掻き、辺の違いや季節、月、気候の違いで漆がどのように変化していくのか楽しみだ。

5時過ぎからやっと作業できるくらいの明るさに。幹の乾き、気候的にも良い。
まずはカマズリから。ここ数辺では作業スピードを上げるためにカマズリを簡素にしていたのだが、それが間違いだと気付かされる。しかし傷つけていくうちに樹皮は厚くなってる?そんなことはないか。特に太い木は、以前よりも厚く樹皮を取らないといけない感覚に陥る。

奥に妖精

カンナの先を樹皮に食い込ませ、引いて傷をつけていく。ここ数辺に比べて少し柔らかい。前回など必要以上に堅く感じたのはカマズリが甘過ぎたことも大きい。傷の長さはもうほとんど伸ばす余地がないので、同じか米一粒伸ばすかという具合。体全体を使ってやる感じがすこし分かった気がする。親指を当てるよりもスピードも速い。遠藤さんのように直線になるように試みるが、途中ですっぽ抜ける。幹の形に沿ってカンナ、体を動かすのが難しい。

漆の出は悪くない。盛辺の時よりも漆の密度が下がったような感じがする。漆が盛り上がってないというか。色も少し違う気がする。

牛乳瓶1本ちょっと

出の勢いが違うからそう感じるだけだろうか。私は5本の漆を掻いているのだが、漆の出の変化が明らかに変わった。これまでは太い木がたくさん出ていたのだが、それらの勢いは少し影を潜め、中くらいの木が遅辺に入っても勢いを保っている。これは木の年齢によるのか、個性や場所によるのか、傷の付け方によるのか。生き物って興味深い。

採れた漆の量はピーク時よりは落ちているが、それでも十分過ぎるほど採れている。9月下旬、10月と寒さを増していく中でどのように変化していくのか、注意深く見守りたい。

 

 

 

 

(木村崇)