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大鰐の漆掻き 15辺目(2024.8.29)

大鰐の漆掻き 15辺目(2024.8.29)

15辺目は八日山(中7日)での漆掻きとなってしまった。四日山なら掻けたのだが、諸々を考慮して五日山でいこうとしたら台風の影響で掻けず、ずるずる伸びて八日山になってしまった。木をいたわることも大事だが、掻けるときに掻くことも大事だと痛感させられる。自然相手のものは本当に難しい。

4時20分頃に家を出る。遠目からの大鰐は少し低く雲が立ち込めているくらいかなと思ったのだが、市街地に入ると濃霧。幸いウルシ林のところは漆を掻けるくらいの天気で、5時過ぎに作業を開始した。

盛辺ももう最後の方で、漆掻き全体としても終わりに近づきつつある。なのでメサシも2/3ほど入れていいと遠藤さんにアドバイスをもらう。風もほとんどないのに、黄色い葉が時折掻いている自分の横をすっと通り過ぎていく。僕は早くから長い傷をつけてしまっていたので、ほとんど傷を伸ばせない。本当に米一粒ほど。スピード感を意識して作業していく。雨の日の後だからか、漆の出はそこまでいい感じはしなかった。特に最初は透明な水っぽい漆で、徐々に漆っぽくなっていった。

前回14辺目の時に漆が全く出なかったところは、地面に近くその付近が根腐れしてるのではないかということで全く掻かなかった。鼓掻きの一番下のところは最も漆が出るところだから、残念。代わりじゃないけど、他の傷のところからたくさん出してくださいと心の中でお願いする。

一緒に漆を掻く今さん

順調に掻いている中、カマズリしている最中に気づいたらタカッポ(採った漆を入れる円柱状の容器)が傾いていて、採った漆がさーっと木の根元と地面に落ちてしまった。急いで回収しようとしたが、それは無理な話だった。漆を落としてしまったのは初めて。悲しいしウルシに申し訳なかったが、覆水盆に返らずじゃないけど、どうしようもないので切り替えて作業を続ける。

作業を終えたのはいつもより30分ほど早い8時半頃。少しはスピード感をもってやれたのかな。でももう30分は早く終わらせたい。なぜなら5本しか掻いてないのだから‥‥

採れた漆 in タカッポ

 

 

 

 

 

家に帰って漆を量ったら過去最高とほぼ同じ量を採ることができていた。体感的にそんな感じがしなかったのは慣れてきたからだろうか。「しかし漆をこぼしていなければ」と幾度となく頭の中でリフレインしながら、作業日誌を閉じることにする。

 

(木村崇)