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大鰐の漆掻き 14辺目(2024.8.21)

大鰐の漆掻き 14辺目(2024.8.21)

回13辺目(8月16日、早朝)から中4日の五日山での漆掻きとなった。暑い日も続いていたため、木にあまり負担をかけないようにする。

朝4:30頃家を出る。初辺の頃は明るかったのに、8月後半になると朝4時台はかなり暗い。弘前の天気は悪くなかったが、バイパスに入って遠目に見た大鰐は雲が低く垂れ込めていて不安な気持ちが襲ってくる。案の定、霧・小雨の大鰐に突入していった。大鰐の市街地と漆を掻くところ・長峰はそう遠くないが、意外と天気が違っていたりする。少しの期待をもって車を走らせたが、神社の石碑があるところを曲がっても天気は変わらなかった。ここまで来ても同じならもう観念するしかない。

りんご畑を抜けて車を止め、車の中で準備をしてウルシ林に向かう。幹は結構乾いていた。林の中に入ると霧・小雨はあまり気にならなくなったが、時々雨粒が木々をくぐり抜ける。遠藤さんがいないから自分で判断しなければいけない。今のままだったらやれるがもう少し強くなると厳しい。予報では午後に近づくにしたがって天気がよくなりそうだった。

掻き始めてすぐ中止になると悲しいので、とりあえずカマズリを続けて様子を見ることにしたが、時間が経ってもなかなか天気が回復傾向にある感じがしない。時折雨雲レーダーを見て判断の精度を上げようと試みる。

全部のカマズリが終わったわけではなかったが、掻き始めることにした。時間も限られているし、何とかなるのではないかと最終的な判断を下した。

カンナを入れると、樹皮は少し柔らかい感じがした。メサシを半分くらいいれる。内樹皮と形成層を切る音がする。すぐ漆が滲み出てきた。木を殺してないようで少し安心する。13辺目は雨の続いた後で漆も少し水っぽい感じがしたが、14辺目のはもっと白くて漆っぽい。出は13辺目と同じかやや増くらい感じるが、ピークだった9辺目よりは体感的に少ない感じがした。
出がいいからといってあまり頻繁に前の木に戻らないように注意しながら(前回遠藤さんに指摘された)、一つの木をできるだけスピーディーに、かつ自分の14辺目の課題を意識しながら掻いていく。
いつも通り進めている中、1つの木の一番下の辺から全く漆が出なくなってしまった。確かに前回の時も出てきた漆の色がグレーっぽくて変だなとは思っていた。その列の下の根のところが雨が続いて根腐れしてしまったのだろうか。次遠藤さんに聞かなければならない。

できるだけ効率よくやったつもりだったが、いつもとあまり変わらない作業時間になってしまった。次回以降も意識してやることを心に決める。採った漆の量は13辺目と同じくらいだろうか(家に帰って量ったらやや増だった)。こんなに漆を採らせてくれたことに感謝してウルシ林を後にする。

 

自分の漆掻きを終えた後、隣の林で青森県中南地域県民局・地域農林水産部が漆掻き研修(2024年度、第2回目)を行なっていると聞いて少し見学しに行った。講師は私たちの漆掻きの先生である小西美術工藝社・遠藤さん。思いのほか多くの人が集まっていて驚いた。漆に興味を持ってくださる人は少なからずいるから、私たちがきちんと技術を学び受け継ぎ、また魅力的に発信していかなければと改めて感じさせられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(木村崇)